米製薬リジェネロン・ファーマシューティカルズは19日、新型コロナウイルス感染症に対する抗体医薬の実用化に向けて、スイス・ロシュと提携すると発表した。同社は米国で臨床試験を進めてきたが、同国以外での開発や販売をロシュが担う。ロシュの製造拠点も活用することで、同抗体医薬の供給能力が3・5倍以上に増えるという。

 リジェネロンは、新型コロナウイルスに対する中和活性がとくに高い抗体2つを組み合わせた抗体療法「REGN-COV2」を開発中。米国で第3相臨床試験段階まで進み、治療、予防の両方で効果を検証している。同剤を全世界で実用化するため、ロシュと提携を結んだ。同社が米国以外での臨床試験や薬事手続きを主導する。

 製造能力も大幅に強化され、少なくとも3・5倍は増える見込み。ロシュはバイオリアクターのサイズで年産10万リットル、リジェネロンは同4万リットル分の能力を確保する。

 ロシュ・グループで抗体医薬の製造基盤を持つ中外製薬は、「他社の話なので当社がコメントすることはない」(同社広報)としている。

 コロナ向け抗体医薬の製造では、米イーライリリー、英アストラゼネカ、米ジェネンテック、米アムジェン、英グラクソ・スミスクライン(GSK)など6社も提携し、製造施設や能力、原材料などに関する情報を共有する協力体制を準備している。

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