英アストラゼネカ(AZ)の新型コロナウイルスワクチン(写真)の接種を見合わせる動きが、欧州で広がっている。接種後に血栓ができる症例などが報告され、死亡例も出ている。死亡例が確認されたデンマークなど北欧諸国が先週、接種の中断を決定。15日にはドイツ、フランスなど主要国も見合わせを決めた。薬事当局の調査が完了するまで「予防的措置」としての中断だが、調査結果によっては早期普及の足かせになる可能性もある。

 AZ製ワクチンの接種後に血栓症を発症し、死亡例も報告されたことを受け、デンマーク、ノルウェーなどの北欧諸国やオランダが先週、接種を見合わせることを決定。当初は接種継続の方針を示していたドイツ、フランス、イタリアも15日、中断を発表した。

 各国ともワクチンと血栓の因果関係に関する調査結果が出るまでの一時的な措置だ。欧州医薬品審査庁(EMA)は、接種者と非・接種者の血栓発症率は同等で、「接種によるベネフィットがリスクを上回る」との見解を変えていないが、全症例を精査して再確認する。18日に調査結果を出す。

 AZは14日、ワクチンの安全性に問題はないとする声明を発表。欧州と英国でワクチンを接種した1700万人のうち、今月8日時点で報告された肺塞栓症は22例、深部静脈血栓症は15例で、「肺塞栓、静脈の血栓症、血小板減少のリスクを高める根拠はない」とした。

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