英アストラゼネカ(AZ)は9日、新型コロナウイルスワクチン「AZD1222」の臨床試験で被験者への接種を一時中断していることを正式発表した。英国の臨床試験で重篤な有害事象が疑われる症例が出たため、試験を中断していると海外メディアで報じられていた。詳細を調査するため、安全性が確認されるまで投与を見合わせる。日本でも8月末に臨床試験を始めたところだが、今月8日までに試験を中断した。

 AZの発表によると、英国の第3相臨床試験(P3)で原因不明の病気が疑われる報告があり、独立した委員会による安全性評価が終わるまではワクチン投与を一時中断することにした。臨床試験で通常行われるレビュープロセスの一環で行われる「日常的な対応」であることも強調した。報告された病名や症状などは明らかにしていないが、米ニューヨークタイムズなどは横断性脊髄炎だと報じている。

 中断したのはAZD1222を投与するすべての臨床試験で、日本も対象。厚生労働省によると、AZから8日、日本で実施しているP1/2も中断したことが報告された。同省医薬品審査管理課は、安全確認のための治験中断は「通常のプロセスで行われるものであり、決して珍しいものではない」が、今後の国内供給に向けた影響はまだ分からないとした。厚労省は英AZと、来年3月までに3000万回分、来年中に合計1億2000万回分を日本に供給することで基本合意している。

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