高砂熱学工業は新型コロナウイルス感染症対策のための提案活動を強化していく。飛沫などを介して感染するリスクを低減するため、特任チームを編成、施設に応じて空調設備などを提案できるよう体制を整えた。「バリフローⅢ」「バリフード」といった医療用クリーンブース設備は、第2次補正予算で拡充が決まった「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」の対象にもなることを説明する。今後の需要増に応じて、さらなる増産も実施していく計画。

 新型コロナの感染が拡大するなかで、高砂熱学は空調設備業で培った技術を基に、ウイルスなどの感染リスクを低減する製品・サービスの提供にいち早く取り組んできた。バリフローⅢ、バリフードは医療機関を中心に問い合わせや見積もり依頼が増加中。いずれも月産10台のところを、ここ数カ月でバリフローⅢは月産30台、バリフードは月産40台まで生産能力を増強してきた。

 また、2次補正予算の成立により、新型コロナ感染の長期化・次なる波に対応するため、都道府県における医療提供体制の整備や、感染拡大防止を推進する「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」の拡充が決定した。この交付金は同社のバリフローⅢ、バリフードが対象になる。

 バリフローⅢは空気中に浮遊する粒子をHEPAフィルターで除去するファンユニットと、ビニールカーテン製のブースで構成される。診察する医師が清浄空気で形成されるブース内(陽圧)に入り、受診者の咳・くしゃみ飛沫を遮断するビニールカーテン越しにブース外の受診者を診察でき、医療従者の安全と診察の作業性が両立できる。受診者がブース内に入って診察を受ける陰圧利用も可能だ。陽圧と陰圧の変更は約10分で行える。価格は140万円(税別)。

 バリフードはウイルス感染が疑われる透析患者の咳・くしゃみ飛沫やエアロゾルを室内に拡散することを防止する装置。バリフローⅢと同様にファインフィルタユニットとビニールカーテンの構成で「人工透析用」と「外来室待合室用」に使い分けできる。価格は55万3000円(税別)。

 新型コロナなど入院施設の「簡易陰圧装置」、新型コロナで休業などとなった医療機関などの継続・再開の際の「HEPAフィルタ付空気清浄機」としてバリフード、帰国者・接触者外来施設の「簡易診察室」「HEPAフィルタ付空気清浄機」、新型コロナが疑われる患者受入の救急・周産期・小児医療体制整備で「簡易陰圧装置」「簡易診察室」「HEPAフィルタ付空気清浄機」としてバリフローⅢ、バリフードが申請対象となっている。

 クリーンブースの提案に加えて、二酸化塩素ガスを用いた殺菌消毒技術「TSCLOO」のサービスも注力する。対象空間内の隅々まで消毒殺菌が行え、従来のホルマリンや過酸化水素による殺菌消毒と比べ、安全かつ短時間で殺菌できる。医療施設のみならず、福祉施設、製造施設、一般ビル向け空調設備の感染症対策について、専門チームが用途に合わせ効果的な対策が提案できるようにしており、ポストコロナや未知の感染症も視野に入れる。

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