BASFは、新型コロナウイルス感染症治療薬開発を支援する。医薬品開発は行っていないが、充実した化合物ライブラリーとスーパーコンピューターを使って候補物質を見いだし、公的な研究グループに無償で提供した。

 世界中の学術機関では、他のウイルス性疾患の治療で承認されている薬剤から、新型コロナウイルスへの有効性を細胞培養物で試験している。しかし、これらの化合物は十分な効果が得られない可能性があるため、有効成分の改良された誘導体を探す必要がある。そこでBASFの研究者は、保有する数百万個の化合物ライブラリーからコンピューターによって類似化合物を探し出し、有望な150化合物を特定した。

 また、世界中の科学者がボランティアで参加しているウイルスの必須酵素を阻害する物質を発見するプロジェクトに参加。社内で開発したコンピュータープログラムとスーパーコンピューター「キュリオシティ」を使って新しい分子を設計し、最終的に主要なプロテアーゼの活性部位に最適に適合する20分子を発見した。

 これら候補物質を無償で公的機関の研究者に提供する。BASFグループが世界中で展開する総額約1億ユーロ規模の新型コロナウイルス感染症対策支援活動「ヘルピング・ハンド」の一環。これまで医療機関への消毒剤や保護マスクの提供にも取り組んでいる。

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