UBEと三菱マテリアルのセメント事業統合会社、UBE三菱セメントは26日、セメントの国内生産を縮小すると発表した。2023年3月末をめどに国内2拠点で工場と生産設備の一部を停止する計画で、合計で年300万トンの生産能力を削減する。セメントの国内需要減少にウクライナ情勢や急激な円安の進行に伴うエネルギー価格高騰、輸出採算の悪化が追い打ちをかける中、工場停止を含む大幅な構造改革に踏み切る。

 生産能力年160万トンの青森工場(青森県東通村)を操業停止し、伊佐セメント工場(山口県美祢市)の生産能力年140万トンの1号キルンを止める。同社全体の国内生産能力は現状の年1890万トンから約15%縮小する。

 同社はUBEと三菱マテのセメント事業統合会社として22年4月に発足した。旧三菱マテの青森工場はセメントの需要地から遠いことや、原燃料に使う廃棄物の運送コストがかさむことなどが事業採算のネックとなってきた。旧UBEの伊佐セメント工場は輸出が主力のため、生産能力年260万トンの2号キルンのみの生産体制に移行することで採算改善を狙う。生産縮小に伴う人員削減はせず、配置転換などで対応するという。

 同社のセメント国内販売シェアは約24%で、太平洋セメントに次ぐ2位。今回の生産縮小後も国内販売シェアに大きな変動はないとみられる。

 UBEと三菱マテは同日、今回の生産縮小に伴ってUBE三菱セメントで23年3月期と翌期以降に200億円程度の特別損失が見込まれると発表した。両社とも出資比率50%に相当する金額を持ち分法投資損失に計上する予定で、23年3月期の業績に与える影響は現在精査中とする。一方で、UBE三菱セメントでは24年3月期以降に今回の施策の効果として年間100億円程度が発現すると見込んでいる。

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