アンジェスは5日、開発中の新型コロナウイルスワクチンについて最初に設計した用量の製剤では開発を継続しないことを発表した。昨年3本の治験を実施したが、中和抗体などによる十分な免疫原性を確認できなかった。今後、8月に治験を始めた高用量製剤の開発に専念する。供給開始は2023年ごろまで遅れる見込み。

 同社は昨年、コロナワクチンの国内治験を3本開始した。30~500人規模の治験で、筋肉内接種した場合の安全性や免疫原性などを検証。いずれも安全性には問題がなく、免疫細胞自体が直接ウイルスを攻撃する作用(細胞性免疫)が一部で認められたものの、中和抗体を増やしてウイルスを攻撃する作用(液性免疫)は十分確認できなかった。

 この結果を踏まえ、当初の製剤では開発を断念し、用量を増やした製剤に注力する。8月に400人規模の臨床試験を始めており、皮内投与による有効性なども評価。来年には次の治験を実施し、実用化は23年ごろになる見通し。

 アンジェスが開発するのは、ウイルスの遺伝子情報を導入したプラスミドDNAを投与するDNAベースのコロナワクチン。メッセンジャーRNA(mRNA)より製造プロセスが少なくすむが、免疫反応が出にくいとされる。

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