塩野義製薬は17日、微量採血器具を用いた臨床検査サービスを展開するマイクロブラッドサイエンス(MBS、東京都千代田区)と新型コロナウイルス抗体検査キットの導入に関する協議を開始したと発表した。MBSが中国企業から調達する簡便なキットを日本の医療機関や検査施設、研究所などに供給する。今後、条件を詰め、供給体制の早期構築を目指す。
 中国から輸入するのは、江蘇省の南京諾唯賛生物科技有限公司(ヴァゼム・バイオテック)が製品化した検査キット。感染初期に生じるIgM抗体と遅れて産生・増加するIgC抗体の2つを免疫クロマト法(金コロイド法)によって一挙に測定できるのがポイント。1滴の血液サンプルで対応可能で、10分で結果が分かる。
 すでに中国では当局の認可も取得しており、臨床現場での実績も有する。感度は94%、特異度97%と精度も高い。東邦大学と協力し、現在、日本でも検査を試験的に行っている。
 PCR法のように専用装置などが不要なうえ、検体採取も容易かつ短時間ですむといった長所を生かし、入国者、患者との接触者らに対する検査での利用を想定する。併せて、疫学調査や患者の免疫獲得状態などの把握にも適していると見込む。
 今後、塩野義とMBSは業務提携に向けて協議し、販路などの詳細を固める。国や自治体などへの寄付を含めた提供方法の検討も進めていく。

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