中外製薬は、抗体医薬「アクテムラ」の新型コロナウイルス感染症を対象とした国内第3相臨床試験(P3)を5月に始めることを明らかにした。新型コロナウイルスによる重篤な肺炎患者に対し、アクテムラを投与し、効果を検証する。目標症例数は10例で、「来月の可能な限り早い時期」(同社)に患者登録をスタート。複数の医療施設で実施し、今年中の承認申請を目指す。

 試験デザインは非盲検単群試験で、18歳以上の成人患者を対象に行う。主要な評価項目は安全性と有効性。副次的な評価項目には臨床的改善までの期間、薬物動態プロファイルなどを掲げる。

 アクテムラは、炎症原因のインターロイキン-6(IL-6)と結合することで過剰な免疫反応を引き起こすシグナル伝達を抑え込む作用を持つ。そのため、重症の新型コロナウイルス感染患者で発生する過剰な免疫反応、いわゆるサイトカイン・ストームに対して改善を示すとして、中国では治療指針に推奨医薬品として盛り込んでいる。

 新型コロナウイルス感染症を対象としたアクテムラの治験は、スイス・ロシュグループによってすでに海外では立ち上がっている。日本の場合、今月8日に中外製薬が医薬品医療機器総合機構(PMDA)に治験届を提出していた。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

ライフイノベーションの最新記事もっと見る