カネカの2020年4~9月期決算は4割強の営業減益となった。フォーム製品など自動車関連や食品関連の落ち込みが大きかった。10日に会見を開いた田中稔社長は塩ビなどを含むマテリアル事業の回復を例に挙げ、「夏場以降に急速に回復している事業分野もあり、さらに業績の改善が見込まれる」と状況を説明。コロナ禍の影響は依然不透明として通期業績予想は従来予想を据え置いた。

 4~9月期の業績は、売上高が前年同期比11・1%減の2667億円、営業利益は同45・1%減の70億円となった。部門別の営業利益はマテリアルが同27・7%減。4~6月期の塩ビやカ性ソーダの収益悪化が響いているが、7~9月期には塩ビのインドや中国向け輸出が回復している。

 落ち込みが最も大きかったのがクオリティ・オブ・ライフで同48・2%減。ファイバー製品は頭髪、難燃用途ともに需要が減少。生産設備の稼働抑制や一時停止の措置もとった。自動車部材に使われるフォーム製品が振るわなかった。こうした製品は需要回復が遅れているという。

 ヘルスケアは同22・7%増で唯一増益を確保した。医療機器が国内外で拡大したうえ、医薬分野ではアビガン原薬や欧州子会社によるPCR検査試薬などコロナ対策関連も収益貢献した。ニュートリションは同39・3%減。インバウンド需要を失った製パン・製菓関連製品が低調だった。

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