アストラゼネカ(AZ)日本法人は26日、親会社の英AZと英オックスフォード大学が共同開発している新型コロナウイルスワクチンを日本に導入するため、第一三共、Meiji Seikaファルマ、KMバイオロジクスと国内供給に向けた協議を始めたと発表した。AZがワクチンの原液を供給し、第一三共子会社とKMバイオが製剤化する。新型インフルエンザの流行に備えて両社が保有していた製剤化設備を活用すれば、1億人分近いワクチンの供給も可能になる。両社は自社でもコロナワクチンの開発に着手しているが、実用化まで時間がかかる見込みのため、海外で開発が進んでいるAZのワクチン供給に協力する。

 AZは、オックスフォード大と開発中のコロナワクチンの日本供給に向けて、日本政府と協議を始めることに合意したと発表。AZ日本法人によると、日本で臨床試験を行う意向だが、時期や規模などは未定。日本向けのワクチン供給量や供給を始める時期も未定という。英AZ本社は、最短で9月から英国、10月から米国向けにワクチン供給を始め、来年にかけて20億接種分を供給する計画。

 日本では、AZがワクチンの原液を供給し、第一三共と明治ホールディングス傘下の2ルートで製剤化・配送する方向で協議。充填・包装は第一三共バイオテックとKMバイオ、保管・配送は第一三共とMeijiが担当する。第一三共によると、AZから治験薬の製造については依頼されていないという。

 製剤化は、厚生労働省が約10年前に開始した「新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備事業」で整備された設備の活用を検討する。KMバイオは同設備により半年で5700万人分、第一三共は4000万人分のインフルワクチンを供給する能力がある。

 両社は独自のコロナワクチン開発も進めているが、最初の臨床試験が始まるのは来年になる見込み。実用化までの国内需要に対応するため、まずは先行する他社ワクチンの供給に協力する。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

ライフイノベーションの最新記事もっと見る