米アボットは、新型コロナウイルス簡易検査キット「ID NOW」の精度を評価する臨床研究3件の中間結果を発表した。米国の診療所からの臨床データでは、既存のラボ向けPCR検査と比較して、陽性一致率(感度)は94・7%以上、陰性一致率(特異度)は98・6%以上。他社のPCR検査と同等の精度があるとした。感染から早期であるほど検出率が高いことも確認した。ID NOWの精度をめぐっては、半数近くの検体が偽陰性になったとする論文が先ごろ発表され、アボットによる検証試験が行われている。

 米国応急診療所(アージェント・ケア)5カ所で行われた計256例の検査結果では、米疾病予防管理センター(CDC)で使われているPCR検査パネルとの比較で、ID NOWは陽性一致率94・7%、陰性一致率98・6%だった。スイス・ロシュのPCR検査試薬との比較では陽性一致率100%、陰性一致率99・6%。ロシュ品とCDCの比較では、ロシュ品のCDC品に対する陽性一致率95・0%、陰性一致率98・7%で、ID NOWは他社のラボ向けPCR検査と同等の精度であるとした。

 感染から日数が経過するほど一致率が下がる傾向も認められた。介護施設や入院患者を対象にした試験では、CDCの検査と比較して陽性一致率85・7%、陰性一致率97・6%。同試験では患者が症状を自覚してから検査を受けるまでの日数が平均12・2日と長かった。応急診療所の検査は同4・1日だった。

 ID NOWはコンパクトサイズの新型コロナ検査機器で、陽性なら約5分で結果が出るとされる。日本では未発売。

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