インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の同時流行が危惧されるなか、臨床現場での負担軽減に貢献する検査キットが出てきた。厚生労働省は2日付でデンカと富士レビオ(東京都新宿区)の検査キットに対して検体種を追加することを承認、新たに鼻腔拭い液で診断できるようにした。医師らの感染リスクを抑えつつ、効率的な検査体制を敷くことができる。

 富士レビオが手がける新型コロナウイルス向け検査試薬・検査キットでは、鼻腔という鼻の手前でも検体採取が可能となったことで、医療従事者の管理の下、患者自身で対応できるようになった。鼻咽頭という鼻の奥から採取する場合に比べて、飛沫感染のリスクを低減できるため、医師らにとっては検体採取時の業務負荷につながる。

 デンカの場合、新型コロナウイルス検査キット「クイックナビ-COVID-19Ag」に鼻腔拭い液が追加となったことで、一度の検体採取で同社のインフルエンザ検査キット「クイックナビ-Flu2」などと同時に検査することも可能となった。これまで新型コロナウイルス用の検体はインフルエンザ用に使えなかったが、今回の承認によって医療現場での手間が省けるようになる。

 今後、デンカでは検査感度の向上や判定時間の短縮などに取り組み、利便性を高めていく考え。併せて、インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスを同時検出することが可能なコンビキットの開発も目指す。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

ライフイノベーションの最新記事もっと見る