エーザイは6日、子会社のカン研究所(兵庫県神戸市)が創製した抗体医薬品「E6011」を新型コロナウイルス感染症の治療薬として開発すると発表した。現在、炎症性腸疾患のクローン病を対象に治験中で、コロナ向けでは血管障害の形成や増悪を抑制する効果が期待できる。エーザイのコロナ薬開発としては、すでに国際治験に組み込まれているTLR4拮抗剤「エリトラン」に続くものとなる。

 E6011は、免疫炎症にかかわる細胞遊走因子などの機能を持つサイトカインの一種であるフラクタルカインに対する抗体医薬。エーザイグループのEAファーマがクローン病を対象に第2相臨床試験を実施している。新型コロナでは、サイトカインが過剰に産生され重症化するサイトカインストームの抑制に効果を発揮する可能性がある。

 開発に向けて日本医療研究開発機構(AMED)の助成事業として採択され、国立国際医療研究センター、長崎大学、横浜市立大学と共同研究を行う。E6011に加えて、エリトランも研究対象。新型コロナの感染動物モデルを作製して薬効を評価するほか、感染者由来の臨床サンプルを用いて重症化を見分けるバイオマーカーを探索する。

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