南アフリカなどで発見が相次ぐ新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染拡大を受け、欧米の製薬各社がワクチンの開発見通しを明らかにした。すでに実用化されているワクチンが効かない可能性が分かった場合、同株に特化した改良ワクチンを開発する。改良ワクチンについて、米モデルナは最短2カ月以内に治験を開始し、米ファイザーと独ビオンテックは100日以内に供給開始できるとしている。

 モデルナは、1、2回目接種の半量である50マイクログラムを投与する追加接種用のワクチンが同株に有効か検証中。不十分と判明した場合、既承認ワクチン、ベータ株やデルタ株に特化して開発した改良ワクチン2剤が有効か確認する。各治験に参加した被験者の血清サンプルを使い、オミクロン株への中和活性を評価する。同株に特化したワクチンの研究にも着手し、順調に進めば60~90日以内に最初の治験を始める。

 ファイザーとビオンテックもオミクロン株への対応に乗り出した。海外報道によると、向こう2週間以内に既承認ワクチンが有効か判明する見込み。同株に特化した改良ワクチンを開発する場合、約100日以内に供給開始できるという。

 オミクロン株は、コロナウイルス感染の足場となる「スパイクたんぱく質」に32カ所の変異があるとされ、デルタ株以上に高い感染力やワクチンの無効化が懸念されている。米国立衛生研究所(NIH)のアンソニー・ファウチ所長は28日、既承認ワクチンでも「重症化をある程度防ぐことができる」との考えを示した。

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