臨床検査薬中堅のカイノスは、新型コロナウイルスを短時間で簡便に診断できる遺伝子検査薬を5月中に発売する。検体の前処理工程が不要で、専用試薬をキットに添加するだけでRNAを抽出できる。汎用のPCR装置に装填でき、検査時間を従来の2~3時間から30分程度に短縮できる。感染が落ち着いても一定規模の検査需要を見込めるとみて新製品を投入する。
 カイノスが発売するのは、英国の診断薬メーカー、ルミラDXが開発したコロナ遺伝子検査薬。日本では3月末に承認された。PCRはウイルスの核酸を増幅させて検出し、温度を上げ下げする核酸増幅の工程に60分以上を要する。新製品はルミラ独自の「qSTAR法」を用いることで核酸増幅を20分に縮められる。
 鼻咽頭ぬぐい液などの検体からコロナウイルスのRNAを抽出する作業は加熱が不要で、専用試薬をチューブ容器に添加するだけで抽出できる。熟練者でなくても検査の前工程を担えるようにした。
 検査試薬は、コロナ流行で医療機関や臨床検査センターなどに普及した汎用のリアルタイムPCR装置に対応し、カイノスは既存の試薬の切り替えを目指す。
 カイノスは自前の核酸増幅技術を応用したコロナの遺伝子検査薬を昨年6月に発売したが、すでに測定装置を含めて検査工程はPCR技術が定着し、独自の作業工程が必要だった同社の製品は苦戦した。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

セミナーイベント情報はこちら

ライフイノベーションの最新記事もっと見る