臨床検査薬中堅のカイノスは、新型コロナウイルスの遺伝子を検出する核酸増幅検査で、特別な検査装置を使わずに試験紙で判定できるキットを開発した。検体を入れたチューブ容器でウイルス遺伝子の抽出や増幅を行い、チューブ内に試験紙を浸して持ち上げると、試験紙に線が表示され、位置や色によって感染の有無を判別できる。大型の投資が必要なく、医療機関などが手軽に遺伝子検査を導入できる。

 カイノスは医薬品医療機器総合機構(PMDA)に体外診断用医薬品としての製造販売承認申請を先月29日に提出した。

 開発した検査キットは「NASBA法」と呼ぶ核酸増幅技術を用いる。増幅産物がRNAのため、RNAウイルスのコロナの検査に向く。核酸増幅は医療機関の検査室や臨床検査機関に一般的に導入されいているヒートブロックという加温装置で行える。温度の上げ下げを繰り返すPCRは専用機器が必要だった。

 鼻咽頭から採取した検体や専用紙薬をチューブ容器に入れて核酸を抽出し、加温して増幅する。約50分間かけて増幅反応を行った後、チューブ内に試験紙を浸して持ち上げると10分間で判定する。試験紙には着色ラテックスによる標識がしてあり、核酸クロマトでコロナのRNAを検出すると発色し、陽性か陰性かを目視で判別できる。

 ノロウイルスなどの遺伝子検査に展開している技術を応用した。

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