京都府立医科大学大学院医学研究科の松田修教授らの研究グループと伊藤園の中央研究所は、お茶に含まれるカテキン類に新型コロナウイルスの細胞への感染能力を低下させる効果があることを確認した。茶カテキン類が新型コロナウイルスのスパイクたんぱく質に結合し、細胞への感染能力を低下させることが分かった。試験管内でヒト唾液中に加えたウイルスに対しても茶カテキン類が迅速、効果的に不活化させることを突き止めた。

 松田教授らは新型コロナウイルス感染症の拡大が続くなか、感染者の唾液中ウイルスを不活化できれば飛沫を通じた感染抑制に効果的であろうと考え、食品成分によるウイルス抑制の研究を開始。茶カテキン類がウイルスを不活化し感染能力を失わせることを見いだした。そこへ伊藤園の研究グループが合流し詳細なデータを得るための共同研究を進めてきたという。

 カテキン類とは、「エピガロカテキンガレート(EGCG)」「テアフラビン3、3’-O-ジガレート(TFDG)」などのほか、カテキン誘導体の「テアシネンシン(ATSA)」などを含むポリフェノールの一種。成果は、科学雑誌「Molecules」と「Pathogens」に掲載された。

 今回論文で使用した新型コロナウイルスは変異型ではないウイルスで、イギリス型やブラジル型の変異ウイルスへの効果を検証したものではない。共同研究グループはEGCGがブラジル型に効果があるが、イギリス型の一部に効果が低いという結果を得ており、現在さらなる研究を進め、論文発表に向けた準備を行っている。

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