米ギリアド・サイエンシズはこのほど、新型コロナウイルス感染症治療をテーマとしてメディアセミナーを開いた。現場で治療に従事する日本赤十字社医療センターの出雲雄大部長が登壇し、レムデシビルの現在の使用例と予想される治療に関して解説。今後、入院治療から外来治療へと移行していくのに当たり、軽症~中等症患者への抗体カクテル療法、経口治療薬と並行して、中等症~重症患者へのレムデシビル投与は継続されるとの見方を示した。

 レムデシビルは、エボラ出血熱の治療薬として開発された抗ウイルス薬で、RNA依存性RNAポリメラーゼによるウイルスゲノムの複製を阻害する。新型コロナウイルス治療薬としては、2020年5月に特例承認を受け、21年8月に保険収載された。

 実臨床データでは、平均5日間の入院期間短縮効果があるとしており、より早期の抗ウイルス薬の活用が薬価以上に医療資源やコストの低減に寄与すると主張した。厚生労働省が8月31日に改訂した「新型コロナウイルス感染症診療の手引き 第5・3版」でも他の薬剤との併用に関する安全性危惧の文言が削除され、安全に使用できるとしている。出雲雄大部長は「1年と10カ月経過し、現場での治療方針は、ほとんどが固まっている。ベクルリー(レムデシビル)はリアルワールドでもエビデンスが出てきており、新型コロナウイルス治療のキードラッグであることは間違いないだろう」とまとめた。

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