カナダの公的研究機関は、新型コロナウイルス変異株に対するワクチン3剤の予防効果を検証した。同国の今年5月までの感染データを解析した。インドで最初に発見され各地で感染が広がっている変異株「デルタ株」に対しては、米モデルナ製と英アストラゼネカ(AZ)製ワクチンは接種1回でも7割前後の発症予防効果があった。モデルナ製は他の変異株に対しても接種1回で7~8割の予防効果を記録した。

 カナダ政府が支援する「カナダ予防接種研究ネットワーク(CIRN)」が、オンタリオ州で昨年12月~今年5月に報告された約7万人の感染データを解析、コロナワクチンの変異株に対する有効率を検証した。モデルナ、AZ、米ファイザー/独ビオンテック製の3剤が対象で、接種人数や陽性人数の内訳は明らかにしていない。査読前論文データとしてウェブ公開した。

 デルタ株に対する接種1回目の発症予防効果は、モデルナ製が72%と最も高かった。AZ製は67%だった。ファイザー製は56%と低かったが、2回目後は87%に上昇した。

 「アルファ株」への発症予防効果は、モデルナ製は接種1回目で83%、2回目で92%を記録。ファイザー製は1回目は66%だったが、2回目で89%に上昇した。AZは1回目で64%。2回目のデータは観察期間が足りず出ていない。「ベータ株」「ガンマ株」に対しても、モデルナ製が接種1回で77%を記録。ファイザー製は1回目は60%にとどまったが、2回目は84%だった。AZ製は48%。

 研究グループは、接種1回でも変異株に一定の効果が見込めると評価し、ワクチン供給が追いつかない地域では集団全体の1回目接種を優先することを提案している。

 

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