厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症薬の一つである抗体カクテル療法の使用に関するモデル事業を立ち上げる。入院患者に抗体カクテルを早期に投与し、回復後、退院、あるいは自宅療養へ円滑に切り替えられるようにするのが取り組みの主な内容。病床の適切な運用・確保につなげるのが狙いだ。今後、自治体との協議を経て、モデル事業を行う医療機関を決めていく。

 患者の重症化を防ぐことが医療提供体制を守るとの観点から実施する。2つの中和抗体を組み合わせた同療法は、軽症・中等症を対象とした治療薬で、日本では入院患者に向けて使う方針を同省は打ち出している。海外の治験では死亡リスクを7割減らせたとの報告もある。今回のモデル事業では迅速な投与によって重症化を防止し、コロナ病床占有率の改善に結び付けていこうとしている。

 日本では中外製薬が申請し、特例承認を受けた抗体カクテル療法だが、政府が同社と契約し、全国の医療機関に配分する仕組みを取っている。使える医療機関も増えてきつつあるものの、発注から到着まで数日かかるとの指摘もあがる。

 田村憲久厚生労働大臣は、3日の閣議後会見で「連絡を受けた次の日には配送できる体制」を目指していると強調した。そのうえで、使用量が多い医療機関などには「ストックを置けるように対応したい」との考えも示した。

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