米ノババックスは14日、新型コロナウイルスワクチンの第3相臨床試験(P3)で発症予防効果が90%だったと発表した。米国などで行った3万人規模の治験結果。流行中の変異株に限定すると、さらに高い有効率だった。来月から各国・地域で承認申請を始め、日本では武田薬品工業が申請する。

 米国とメキシコで行ったP3の結果が明らかになった。18歳以上の約3万人を2対1でワクチン群、プラセボ群に割り付けた。2回目の接種から7日目以降に発症した症例はワクチン群14例、プラセボ群63例で、発症予防効果の有効率は90%となった。発症例の8割以上が主な変異株(WHO定義のVOC/VOI指定変異株)による感染で、有効率は93%。ワクチン群に中等症以上の発症例はなかった。

 大規模P3の結果が出るのは2つ目。英国での約1万5000人規模のP3でも発症予防効果は90%を記録。英国で最初に確認された「アルファ変異株」に限定しても同86%だった。

 7~9月期に各国・地域で緊急使用許可などの承認申請を始める。日本では武田薬品が国内P1/2を実施中で、海外のP3結果と併せて申請する予定。最短で今秋の供給開始を目指している。

 ノババックスは当初、昨年中の申請も可能とみていた。大幅に遅れた主な要因は、製造体制と材料不足。自社製造のほか複数の企業に製造委託しているため、各拠点間の品質の同一性を証明する手続きなどに時間がかかっているという。また、シングルユースバイオリアクター向けの樹脂バッグやフィルターなどが米国から輸出されず、同国外での製造を本稼働できない状況が続いていた。

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