米ファイザーと独ビオンテックはこのほど、両社が開発した新型コロナウイルスワクチンが新たな変異株「オミクロン株」に有効な可能性があると発表した。接種者の血清サンプルを使った初期調査で確認した。2回接種だけでは抗体価が不十分だが、3回接種すると抗体価が25倍に増え、一定の予防効果を維持できるとした。詳しいデータを確認したうえで、オミクロン株に特化したワクチンが必要か判断する。

 オミクロン株などの疑似ウイルスを作製し、両社のワクチン接種者の血清に中和活性があるか確認する試験を行った。2回目接種から3週間後の血清はオミクロン株に対する抗体価が極めて低かったが、3回目から1カ月後の血清は2回目後より25倍に上昇し、他の変異株に近い水準だった。

 感染した細胞を排除するT細胞「CD8+」が認識する抗原エピトープのうち8割近くは変異していないことから、重症化予防の効果は維持できると予想している。

 ビオンテックのウグル・サヒン最高経営責任者(CEO)は同日夜の記者会見で、初期結果を受けて「世界的に追加接種を推進すれば、この冬の感染拡大を抑制できる」とコメント。2週間以内に出るという詳細なデータを確認し、「オミクロン株に対応した新たなワクチンが本当に必要か判断する」。

 同株に特化したワクチン製剤の開発には着手ずみで、年明けにも治験薬レベルの供給が可能になる見込み。「薬事当局の判断次第」で3月に実用化することも可能という。ただ、最初の供給量は限られるため、既存ワクチンの供給と並行して増産対応を進める。

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