米ファイザーと独ビオンテックは共同開発した新型コロナウイルスワクチンについて、一般的な冷凍庫でも2週間保存できることが分かったと発表した。これまでは2週間以上保存するには超低温冷凍庫(ディープフリーザー)か専用の保冷ボックスなどが必要だったが、通常の冷凍庫も使えるようになれば流通・接種体制を柔軟に運用できる。保存条件を緩和する薬事申請をこのほど米国当局に提出した。日本などでも順次手続きを進める予定。

 両社はワクチンの実用化を最優先するため、現時点でもっとも確実性が高いと考えられた保存条件で薬事手続きを行ってきた。米国で緊急使用許可(EUA)されている現在の保存条件は、マイナス80~60度Cに対応したディープフリーザーで最大6カ月、専用の保冷ボックスとドライアイスを使えば30日間、通常の冷蔵庫(2~8度C)で5日間保存できる。

 ワクチンの保存条件を検証する安定性試験データが9カ月分蓄積された結果、一般的な医療用冷凍庫(マイナス25~15度C)でも2週間保存できることが分かった。このデータを米当局に提出し、EUAの保存条件を変更する。該当する冷凍庫が医療機関などにあれば、冷蔵庫より長期間の保存が可能になり、接種スケジュールを柔軟に計画できる。ドライアイスの必要量も減らせる可能性がある。3月中にも各国・地域で同様の変更手続きを進める予定で、日本でも関連データが整い次第、申請する。

 今後さらに長期間の安定性データが蓄積されれば、保存条件を一段と緩和できる可能性がある。

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