米ファイザーは28日、独ビオンテックと開発した新型コロナウイルスワクチン「コミナティ」の3回目の追加接種の有効性を示すデータを公表した。新規感染の主流になっている変異株「デルタ株」に対しても、中和抗体の量がピーク時より5~11倍に上昇した。追加接種ワクチンとしての緊急使用許可(EUA)申請などを来月から始める。治療薬の最終治験も開始し、年内の申請を目指す。

 コミナティを2回接種した後の中和抗体価は時間の経過とともに減少し、8カ月後にはピーク時から8~9割低下した。だが3回目の追加接種を行うと、最初のピーク時より野生株に対して5倍、「ベータ株」に対して10倍以上に抗体価が上昇した。デルタ株も同様の傾向で、若年層はピーク時より5倍、高齢者は11倍以上に増えた。

 コミナティを追加接種するブースター・ワクチンとして、来月にもEUA申請する。デルタ株に特化した改良ワクチンの臨床試験も来月始める。

 今年のワクチン供給量が計30億回分に増える見通しも示した。これまで各国・地域と21億回分の供給契約を結んでいる。追加供給などを反映し、今年の売上高予想を335億ドル(約3兆7000億円)に上方修正した。来年の供給量も40億回分に増やした。

 コロナ治療薬の第2/3相臨床試験を今月始めたことも明らかにした。結果を踏まえて、10~12月期に米国でEUA申請する。塩野義製薬などが開発している治療薬と同じタイプの経口プロテアーゼ阻害剤だ。

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