ベンジルアルコールの市況が上昇している。主要1社の工場があるインドで新型コロナウイルスの流行にともないロックダウン(都市封鎖)が実施され、供給が停止しているためだ。中国主要3社は稼働を継続しているが、過剰生産により緩んでいた需給が締まる可能性が強まっている。インドでは、感染者が増え続けているためロックダウン期間が延長され、先行きが読めなくなっている。

 ベンジルアルコールは一昨年秋から、中国の湖北緑色家園材料技が原料を内製化しフル操業となったため、魯西化工集団、武漢有機実業との3社で世界需要を賄える能力となった。こうしたなか、昨年からインドの新興2社や米国企業も増強に動いたため供給過剰に発展。値下げ競争が繰り広げられ、昨年末には1キログラム当たり1ドル台前半に達した。

 今年に入ってからは旧正月入りによる中国3社の操業抑制で値下げはストップ。その後も新型コロナウイルスの流行にともなう需要低迷で市況は底を這っていたが、ここにきて上昇。2ドル台後半で取引されるケースも出ている。背景にはインドのロックダウン政策があるようで、主要1社が従業員不足から稼働できなくなったようだ。

 中国では移動制限が緩和され、需要も回復しつつあるもよう。また3社は操業を継続し、供給に影響はみられないようだ。しかし、インドの動向によっては需給が締まる可能性もあり、先行きが読みにくくなっている。

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