川崎重工業とシスメックスの共同出資会社で医療用ロボットの開発を手がけるメディカロイドと神戸市は、新型コロナウイルス感染症の再拡大に備え、感染の有無を調べるPCR検査を自動化するロボットシステムの開発などで連携すると発表した。医療機関などに提供し、医療従事者の感染リスクや作業負担を低減させるとともに、検査体制の拡充につなげる。

 メディカロイドは、①検査に必要な検体を医師が別室から遠隔操作で採取し感染防止を可能とするロボットシステム②検体を分析するロボットシステム③医療従事者に代わって病室に食事や薬を運びながら遠隔で患者に簡単な問診ができる移動型ロボットシステム-の3種類を開発。すでにテストを進めており、ロボットはいずれも川重の産業用ロボット「デュアロ2」を応用する。

 神戸市は社会実装に向けて病院や宿泊型療養施設などとの調整を行う。開発経費に対しては5000万円程度の財政支援も実施する方針。

 PCR検査の工程では検体の採取や不活化処理で作業者の感染リスクがある。技術力の高い検査員の確保も不可欠だ。ロボットにより、検査員の安全確保と検査技術の習熟補完が期待できる。

 鼻腔検体採取については医療認証が必要になるため、認可不要の唾液採取検査から評価に取り組む。神戸医療産業都市内の衛生検査所「シスメックスBMAラボラトリー」内でロボット化の検証を進める。10月をめどに神戸市に販売し、運用を開始する予定だ。

 神戸市役所で3日に開いた記者会見で、メディカロイドの橋本康彦社長は、「全体をロボット化するのは世界初の試みだろう」と説明。久元喜造市長は「神戸市は1日462検体のPCR検査が可能な体制を整えているが、ロボットシステムの本格導入により、この何倍もの検査件数を確保できる」と期待を述べた。

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