ユーグレナと九州大学発スタートアップのKAICO(福岡市西区)は、九州大学や鹿児島大学、長崎大学と共同で、蚕を利用した発現システムを用いて新型コロナウイルスの感染に重要な役割を果たす組み換えスパイクたんぱく質の大量生産に成功した。同たんぱく質を抗原としたワクチン接種効果を高める物質として、アルミニウム塩をアジュバントとして用いたアラムアジュバントを一緒に接種することにより、効率的な防御免疫の誘導を示す研究結果も確認。早期の実用化が望まれる国産ワクチン開発の加速化に向け、有効なアプローチになることが期待される。

 成果はスイスの学術誌にオンライン掲載された。研究グループは組み換えスパイクたんぱく質を独自システムで発現させ、マウスでの抗体産生能を評価。同発現システムで産生されるスパイクたんぱく質を抗原とし、ワクチンと同時に接種することで効果を高める物質であるアジュバントについても検討した。

 その結果、新型コロナの組み換えスパイクたんぱく質を蚕の血清から精製し、マウスに抗原として接種することでマウス血清中に抗原特異的抗体が産生できることを確認した。アラムアジュバントの使用により、強力な中和抗体の産生能を有することも示されたという。

 ユーグレナは2020年10月、KAICOと共同で新型コロナに対するワクチン開発の研究を開始。21年12月には、KAICOが実施した第三者割当増資に参画している。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

セミナーイベント情報はこちら

ライフイノベーションの最新記事もっと見る