微細藻類ユーグレナ(和名・ミドリムシ)を健康食品や化粧品、バイオ燃料と幅広い用途で活用したビジネスを手がけるユーグレナ。2005年創業と比較的若い企業は経営陣の平均年齢も若く、その後押しを受けながら、昨年からテレワーク(在宅勤務)の導入に向けた準備を進めてきた。新型コロナウイルス感染症の予防対策としてテレワークが広まった時にも、スムーズに移行できたという。人材確保のうえで時間や場所にとらわれない労働環境の提供は今後不可欠になるとみており、テレワークを積極活用していく考えだ。

 同社がテレワーク導入の検討を始めたのは昨年。20年に予定されていた東京五輪開催期間中の公共交通機関の混雑や、年々深刻化する災害への備えといった観点からだった。そこで19年4~7月に各月1日、テレワーク推奨日を設定して訓練した。訓練には生産従事者などを除き、グループ全体の76%にあたる約130人が参加した。社員のパソコンは社用スマートフォンでインターネットに接続できるため、テレワーク実施にともなう大きな設備投資はなかったという。

 19年10月の台風19号発生時など、その後も時折テレワークを実施。今年に入って新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されるようになったことで、2月から本格的に取り入れた。訓練時と対象職種は変わらないものの、グループ会社の吸収合併などを経て、現在は約170人が対象となっている。

 訓練の成果もあり、新型コロナウイルス発生後のテレワーク移行は比較的スムーズに進められた。テレワークのメリットとして感じているのは、口頭で済ませていたような確認事項もチャットツールなどに記すようになり、仕事の細かなフローまで見える化したことだ。

 一方、テレワークが長期化したことで、コミュニケーションが不足しがちとのデメリットにも直面した。全社会議やグループミーティングをオンラインで行うだけでなく、オンライン画面を一定時間つなぎっぱなしにすることで、いつでも話しかけられ、ともに働いている雰囲気の演出を試みるグループもあるという。

 テレワークを推進するなか、同社でも「ハンコ文化」の壁にぶつかった。社内を中心に書類の電子化は進めてきたが、署名押印のために出社せざるを得ないこともあった。そこで負担軽減に向け、取引先企業に契約締結は電子契約に切り替えてもらえるよう、このほど依頼。紙ベースでのやりとりがとくに多い行政に対しても依頼は伝える。

 緊急事態宣言解除後もテレワークは継続しており、この事態が収束しても積極的に取り入れる意向だ。個人の生活スタイルに合った働き方を提供できることが優秀なスタッフの確保に欠かせないとみているためで、「いつでもどこでも、希望したかたちで働けるような環境の構築を目指す」(同社)としている。

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