京都大学発ベンチャーのリバーセル(京都市上京区)と藤田医科大学は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った免疫細胞「キラーT細胞」を用いた新型コロナウイルス感染症の新たな治療法について、共同研究を進める契約を締結したと発表した。これまでリバーセルはT細胞製剤の技術をがん治療に応用する取り組みを推進してきた。新型コロナに対しても同技術の活用に乗り出し、2~3年以内の臨床応用を目指す。

 新型コロナに対する免疫療法としてはワクチン接種や抗体の投与をはじめ、元患者の血しょう投与といった方法の開発が世界中で数多く進められている。今回の共同研究で開発に取り組むキラーT細胞製剤はこれら手法とは異なり、とくに重症のウイルス感染症に対する有効な治療法になるとみる。

 リバーセルは、京大ウイルス・再生医科学研究所の河本宏教授によって2019年に設立された。T細胞の一種であるキラーT細胞はウイルス感染細胞やがん細胞を見つけ出して殺傷する能力を持つ。T細胞製剤はiPS細胞から再生することで量産も可能という。

 このほかリバーセルは大塚製薬と他家T細胞を用いたがんの治療法の研究開発に対し、リバーセルが有する技術を提供するためのリサーチライセンス契約を今月1日に締結。大塚製薬は自家T細胞を用いた養子免疫療法の研究開発を進めており現在は複数プログラムの臨床試験が進行中だ。

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