ロート製薬は、新型コロナウイルス感染症重症肺炎症患者を対象とする他家間葉系幹細胞を用いた細胞製剤「ADR-001」の第2相臨床試験(P2)を2022年度中に終えることを目指す。国内では感染状況が落ち着き、重症者数も減少していることから「P2は停滞している」(杉本雅史社長)ものの、上市に向け引き続き開発に取り組む。

 11日の決算会見で杉本社長がP2完了時期の目標を語った。ADR-001は、他家脂肪組織由来幹細胞を構成細胞とする細胞製剤。20年8月にP1に着手し、今年6月には一定の安全性を確認できたことから、有効性を確かめるP2に移行することを発表していた。

 21年4~9月期決算は売上高、各利益段階で過去最高を記録した。前年同期は新型コロナウイルス感染症のまん延で世界経済が低迷した影響を受けたが、今年度上期は反動により国内外で販売量が増加。「19年度の業績に戻し、V字回復させることを目標に定めていたが、上回ることができた」(同)と高く評価した。

 国内では目薬をはじめ、しみやニキビなどを防ぐスキンケア商品「メラノCC」、デオドラント商品「デオコ」、目のサプリメント「ロートV5粒」などが好調に推移。Meiji Seika ファルマを通じて販売する新型コロナウイルス抗原迅速検査キットも収益増に貢献した。

 目薬は米国、中国でも伸びた。両国ではマスク着用を背景にニキビ治療薬の需要も高まった。

 上期が好業績だったうえ、8月末に痔疾用薬「ボラギノール」を手がける天藤製薬の子会社化完了を受け、通期業績予想を上方修正した。売上高1900億円、営業利益250億円、経常利益250億円、純利益180億円を見込む。達成できれば売上高、各利益段階で過去最高となる。

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