日本医療研究開発機構(AMED)は26日、国産ワクチン実用化を推し進めるための「世界トップレベル研究開発拠点」に東京大学などを選んだと発表した。昨年6月に閣議決定した「ワクチン開発・生産体制強化戦略」に盛り込んだ取り組みの一環で、今後5年で515億円を投じる。研究開発体制を平時から整えることで、パンデミックの際に迅速に対応できるようにするのが狙いだ。

 同拠点は、中核となる「フラッグシップ拠点」と、相乗効果が見込める「シナジー拠点」、動物実験などを支援する「サポート機関」で構成する。フラッグシップ拠点には東大を選び、東大医科学研究所(東大医科研)の河岡義裕特任教授が拠点長に就く。シナジー拠点には北海道大学、千葉大学、大阪大学、長崎大学を選定。粘膜ワクチンなど新規モダリティ(治療手段)や感染症研究といったそれぞれの強みを持ち寄り、早期実用化を後押ししていく。

 一方、サポート機関には実験動物中央研究所(実中研)、滋賀医科大学、医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN)、京都大学、理化学研究所(理研)、東大が名を連ねた。ワクチン開発で必要となる実験動物の作成・供給、ゲノム解析などで支援を行う。

 コロナ禍を通じ、国産ワクチンが出てこなかった反省を踏まえ、政府は同戦略の内容に基づき、順次、実行に移している。世界トップレベル研究開発拠点の形成もその目玉の一つ。最長10年の支援が可能な事業として設計しており、まず5年間、AMED経由で515億円を充てる計画だ。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

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