米リジェネロン・ファーマシューティカルズが開発中の新型コロナウイルス感染症治療薬「ERGN-COV2」について、中外製薬が日本での開発の検討に入った。同剤はウイルスに対する中和抗体2種類を組み合わせた「カクテル療法」で、トランプ米大統領にも投与された。スイス・ロシュが米国以外での開発権を持っており、グループ企業である中外が日本向けに導入する権利がある。日本人を対象に行われている同剤の臨床試験はまだない。

 リジェネロンは米国を中心にERGN-COV2の開発を進めてきたが、全世界で実用化するためロシュと提携。米国以外の開発、販売はロシュが行う。製造面でも協力する。ロシュのセヴリン・シュヴァン最高経営責任者(CEO)は海外メディアの取材に対し、米国以外の開発や薬事申請についてリジェネロンと協議していることを明らかにしている。

 ロシュの方針を受けて、日本では中外が開発を検討し始めた。両社は、製品を導出する場合、まずロシュ/中外が開発権利を取得するか決める第1選択権を持っている。

 REGN-COV2は、新型コロナ感染者由来の抗体のなかから、ウイルスに対する中和活性がとくに高い2種類を選んで開発された抗体カクテル療法。今月7日に米国で緊急使用許可(EUA)申請が行われた。同剤による治療を受けたトランプ大統領は早期承認に高い意欲を示している。

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新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

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