京都大学の長尾美紀教授らの研究グループは15日、新型コロナウイルスの大量検査が可能な全自動遺伝子検査システムを開発したと発表した。複数検体を混合し、1検体とするプール検査法を活用。3種類の全自動遺伝子検査装置で高精度な大量検査手順を構築した。いずれの機器でも感度95%以上、特異度99・8%以上と極めて高い精度で、既存プール検査法で指摘される低精度を解決した。ノウハウ共有により迅速な導入が可能だとしている。

 プール検査法は、複数検体を混合し、同時検査を行い、陽性だった場合に混合した検体すべてを個別に検査し直すというもの。陰性率が一定以上の場合、かかる時間とコストを大幅に低減できるが、検体が希釈されるため、精度の低下が問題だった。

 研究グループは一連の流れを自動化することでプール検査法が有効となる検査環境を整えた。市販されている全自動遺伝子検査装置3機種について、自動分注機を組み合わせることで高精度検査が可能になる。

 実証したのはプレシジョン・システム・サイエンスの「ジーンリードエイト」「同24」、ホロジックジャパンの「パンサーシステム」、ベックマン・コールターの「Biomekシステム」の3機種。いずれも、200~400検体を5時間以内で高精度に処理できる。今後の検査拡大への大きな寄与が見込まれる。

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