国立病院機構新潟病院の石北直之医師と広島大学は人工呼吸器を3Dプリンターで製造するための設計データを無償提供する共同研究プロジェクトを始めた。2017年に、設計図を電送した国際宇宙ステーションで製造し動作試験に成功した人工呼吸器モデルで、新型コロナウイルスの流行拡大を受けて世界から問い合わせが相次いでいるという。
 一定の性能要件を満たす汎用3Dプリンターと通信環境、原料のABS樹脂があれば設計データを基に人工呼吸器を製造できる。ただし、この人工呼吸器モデルは医薬品医療機器総合機構(PMDA)などの承認を目指している段階で、現時点で臨床応用できない。共同研究プロジェクトを通じて実用化機器に仕上げ、新型コロナに対する救命活動に活用したいとしている。
 承認後は標準的に治療に用いる人工呼吸器を直ちに使えない場合の緊急的な使用や、MRI機器内での使用を想定している。圧搾空気を動力源としているため電気を必要とせず、手動で作動する。石北医師は医療機器製造販売業の認可を持つニュートン(岩手県)と共同開発を進めている。
 実用化研究を加速するための寄付を受け付けているほか、クラウドファンディングも計画している。

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