東洋紡は、感染症の病原菌を短時間で突き止められる全自動遺伝子解析装置「ジーンキューブ」の新型コロナウイルスへの適用を進める。研究用試薬として発売した同ウイルス検出キット開発の共同研究で得た知見や技術を応用。体外診断用医薬品としての上市を想定し、同装置の新型コロナ専用試薬(診断薬)の開発に取り組む。

 ジーンキューブは生体試料からの遺伝子の抽出、増幅、検出までを自動で行う「超高速PCR技術」を用いた装置。専用の試薬キットを用い、結核やマイコプラズマ肺炎などの感染症に対応している。

 同装置の検査時間は最短30分。1回当たりの最大アッセイ数は16で、最大8検体を同時測定できる。迅速な診断が可能なことから「感染拡大後、医療機関などから同装置を新型コロナに適用できないかという問い合わせが多かった」(東洋紡)という。

 同社はこのほど、同ウイルス検出キット「SARS-CoV-2 Detection Kit」を上市。特許出願中の独自遺伝子増幅酵素などを用いてPCR法の検出・測定まで最短60分以内で行うことができる。研究用試薬として新型コロナ治療薬開発現場での活用を想定する。

 同キットは日本医療研究開発機構(AMED)の支援の下で行われた北里大学大村智記念研究所、国立感染症研究所との共同研究の成果。今後、共同研究で得た知見や技術を活用しジーンキューブ用の新型コロナ診断薬の開発を進める方針。

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