出光興産の2020年3月期決算は、減収減益だった。営業利益と持分法投資損益の合計は262億円の損失で、原油価格の急落により生じた893億円の在庫損失が響いた。当期は昭和シェル石油との統合後初の決算期だが、140億円の経常損失、229億円の純損失を計上する結果となった。両社の前年度の業績を100%連結したベースで比較すると、売上高は前期比12%減の6兆459億円だった。26日に会見した木藤俊一社長は、当期の業績について「昨年公表した中期経営計画を大幅に下回る利益水準となった」との評価を示した。その上で、「中計を見直す必要も出てきた」と述べた。中計を修正する場合は、今秋までに新たな中計を公表する方針。

 主力の燃料油事業は、在校影響を除くセグメント利益で同891億円減となる201億円の損失。製品マージンは400億円改善し、統合シナジーでも220億円のプラス効果を創出した。しかし、期末の原油価格急落に伴い生じたタイムラグ影響の600億円の損失や、200億円の持分法投資損失の増加などが響いた。

 基礎化学品事業のセグメント利益は、製品マージンの悪化が響き、同76・4%減の119億円。高機能材事業のセグメント利益は、中国経済減速にともなうポリカーボネートのマージン縮小が主要因となり、同14・5%減の284億円だった。

 今期は売上高3兆9000億円、営業益と持分法投資損益の合計は250億円、経常益300億円、純利益50億円を予想する。基礎化学品事業と高機能材事業に関しては、億単位で計上できるセグメント利益はないと見通している。

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

経営の最新記事もっと見る