JSR子会社の医学生物学研究所は18日、慶応義塾大学と共同で新型コロナウイルスの中和抗体自動測定キットを開発したと発表した。LSIメディエンスの自動臨床検査装置「STACIA」に搭載可能で、1時間当たり最大270回抗体量を測定できる。ワクチン接種後の抗体価推移や、患者の中和抗体評価への活用を見込む。来月をめどに発売を目指す。

 開発した測定キットは、「CLEIA」という測定手法を用いる。新型コロナウイルスのスパイクたんぱく質のうち、抗体と結合する部位「RBD」をコピーした粒子を用意した。粒子と血清、RBDと結合すると光るたんぱく質「ACE2」の3種類を混合する。血清中に抗体がなければ、ACE2が光るが、含まれる抗体の量に応じて、RBDと結合するACE2が減り、発光が弱まる。発光強度から逆算することで抗体量が測定できる。

 2020年末ごろに仕組みを確立したが、当時は手動だった。今回、手法を変更し、シートから粒子を用いることで自動化を達成した。迅速測定が可能で、サンプリングから結果までの時間は1検体19分以内。同手法はウイルスを用いないため、バイオ・セーフティ・レベル(BSL)1相当の施設で運用できるのもポイントだ。

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