医薬中間体は、主産地である中国からの供給が滞っている。新型コロナウイルスの感染拡大で工場が一時操業停止していたことに加え、漸次稼働が再開された現在も空輸便の激減などから輸出が難しくなっている。この影響で、最大需要国のインドも一部原薬などを輸出制限せざるを得ない状況が続いている。インドのロックダウン(都市封鎖)が5月3日まで延長が決まったため「中間体、原薬ともタイトな状況が続く」(市場関係者)見通し。

 医薬中間体は中国からの供給が大半を占め、近年の環境規制でプレイヤーが限られてきている。こうしたなかで新型コロナの感染が拡大したため旧正月明けから工場の操業が停止。全土で移動制限がかかり、従業員を確保できない企業の製造が一時的に滞った。

 制限が緩和され、稼働は徐々に再開しているが、今度は国外輸送が停滞。国外での感染拡大にともない、輸送の要となる空輸便が激減したためだ。日中便も乗客減にともない貨物運賃が上昇しているもようで「医薬中間体の価格は横ばいだが、空輸以外に輸送手段がなく入手しづらくなっている」(同)。

 最も影響が大きいのが世界有数の原薬供給国インド。中国からの供給滞りを受け、3月3日にアセトアミノフェンなど一部原薬などの輸出制限を開始。4月8日に一部を解除したが、3月下旬から続くロックダウンで原薬などの輸出もままならない状況だ。

 インド政府はさらにロックダウンの期限を当初の4月14日から5月3日に延長する方針を固め、外出禁止令など厳しい措置を新たに設けた。中国から中間体が手に入りにくくなるなか、原薬などの製造がさらに難しくなり、中間体、原薬とも当面は需給タイト感は続くと予想される。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

ライフイノベーションの最新記事もっと見る