厚生労働省は7日、ギリアド・サイエンシズが開発した新型コロナウイルス感染症治療薬「レムデシビル」(製品名・ベクルリー点滴静注)について、適応拡大などを認める添付文書の改訂を発表した。これまでは重症患者に限定して承認していたが、処方対象を中等症患者などにも広げる。ただし薬剤の供給量を増やすのが難しい状況のため、当面は従来通り重症患者のみに供給する方針。

 レムデシビルは昨年5月、臨床試験と並行して特例承認された。承認条件だった臨床試験結果がこのほど提出され、適応拡大などを認める添付文書改訂が行われた。

 これまで同剤は、体外式膜型人工肺(ECMO)や人工呼吸器を導入しているような重症例に限定して承認されていたが、新たな添付文書では「SARS-CoV-2による肺炎を有する患者」に変更し、重症度を問わず肺炎症状があるコロナ患者すべてを対象にした。ギリアドが提出した臨床試験結果によると、同剤を早期段階から投与するほど効果が高いとされる。

 ただし、ギリアドからの薬剤供給量を一気に増やすのは難しいため、当面は供給対象を「現状維持」とし、従来の重症患者に限定する方針。同剤は現在、日本政府がギリアドから薬剤を買い上げて医療機関に配送する仕組みになっている。

 また今回の改訂では、警告の記載が削除され、腎機能・肝機能の検査頻度なども緩和される内容になった。

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