厚生労働省は19日、新型コロナウイルス治療薬として中外製薬が申請していた抗体カクテル療法「ロナプリーブ点滴静注セット300」「同点滴静注セット1332」を特例承認した。国内で使える同感染症治療薬としては4つめで、軽症者向けでは初めてだ。特例承認を踏まえ、政府は20日から中外から確保した分に関して全国の医療機関に配送する。

 年齢や肥満といった重症化リスク因子を有し、酸素投与が不要な軽症から中等症の患者が対象。供給量などの問題を受け、日本では入院患者に投与する。これまで国内で承認された同感染症薬はいずれも中等症以上が対象だった。また、転用ではない、新型コロナウイルス感染症をターゲットに開発した治療薬としても今回が初めてとなる。

 回復した患者から得た2種類のウイルス中和抗体「カシリビマブ」「イムデビマブ」を組み合わせている。細胞表面の酵素との結合を阻害することで、新型コロナウイルスの侵入を防ぎ、増殖を抑える。海外で行った治験では入院や死亡のリスクが7割減ったとの報告もある。

 米リジェネロンが創製し、中外親会社のスイス・ロシュを通じ、導入していた。薬事承認後、中外は日本政府との間で2021年分を供給する契約を結んでいる。米国では昨秋に緊急使用許可(EUA)を取得している。

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