厚生労働省は、各自治体に対して最大限の検査能力で新型コロナウイルスの全ゲノム解析と変異株PCR検査を実施するよう要請した。新たな変異株「オミクロン株」が懸念される変異株(VOC)に指定されたことを受けての通達。感染症法第15条に基づく積極的疫学調査として扱われる。

 厚労省と自治体は、新型コロナウイルスの検体ゲノム情報について共有し、変異株の全国発生状況の把握などを行っている。デルタ株を主とする第5波収束にともない、10月25日に「L452R」変異株PCR検査を終了していた。新たに確認されたオミクロン株は、再感染リスクなどが他のVOCと比較しても高く、発生動向の監視の必要性から変異株PCR検査を再開する。

 現在主流のデルタ株はL452R変異が陽性だが、オミクロン株はその変異が陰性。新型コロナウイルス陽性かつL452R変異陰性の検体をオミクロン株の可能性がある検体と定め、全ゲノム解析により確定する。現在、国立感染症研究所がオミクロン株のPCR検査手法確立に取り組んでおり、今回の通達は暫定的な処置となる。

 後藤茂之厚生労働大臣は3日の閣議後会見で、オミクロン株について「実験的評価がまだなく、疫学的評価も十分でない」という見解をあらためて提示しつつ、「適切に感染防止対策を行うのが重要」だと述べた。自治体主体で行う全ゲノム解析については「従来お願いしている実施率にとどまらず、現時点の検査能力を最大限発揮」するよう要請を行ったとした。

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