厚生労働省は、英アストラゼネカ(AZ)製の新型コロナウイルスワクチンを公的接種で使うことを決めた。原則40歳以上が対象。5月に薬事承認したが、血栓リスクの問題から使用を見送っていた。7月30日に開催した厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で、外部専門家らが了承した。

 AZ製ワクチンは有害事象として血小板減少をともなう血栓症(TTS)が海外で報告され、公費による臨時接種での使用は見送られていた。TTSに対する治療手引きがまとまったことに加え、ワクチンが不足している自治体などからAZ製の使用を求める声が高まっていることから使用を解禁する。個別、集団、大規模接種などどのルートで使うかは未定。

 米ファイザー、米モデルナ製ワクチンの含有成分にアレルギーがある人や両ワクチンの流通が停止した場合などは18~39歳も可能とする。接種間隔は4~12週だが、効果が高まる8週以上を推奨する。

 海外では60歳未満の女性を中心にTTSが報告され、接種実績が多い英国も推奨年齢を40歳以上としている。TTSの頻度は接種1回目に高く、接種100万回当たり約15件。英政府のデータでは、デルタ株に対する発症予防効果は約67%。

 日本へは1億2000万回分の供給契約があり、約9000万回分の原液はJCRファーマが国内製造。製剤化は第一三共、KMバイオロジクス、ニプロファーマが手がける。
 また、先ごろ薬事上の対象年齢を拡大した米モデルナ製ワクチンについて、12歳から臨時接種対象にすることを決めた。

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