厚生労働省の感染症部会は15日、新型コロナウイルス感染症の検査で、5人分の検体を混合して同時にPCR検査をする「プール検査法」を行政検査の対象とすることを決めた。コロナ陽性率が低い場合、現状の個別検査に比べて検査効率を高められる利点がある。ただし、陽性率が高い場合は逆に作業時間が増える。厚労省では早急に検査指針を定めて自治体に通知し、運用を始める。

 一部の自治体がプール検査を導入し、コロナの感染が拡大するなか、行政検査として運用を求める声があがっていた。厚労省調査では陽性率2%では検査時間を半分程度に短縮できた。10人分の検体のプール検査に比べて5人分の検査精度が高かった。ただし、陽性率が5%を上回ると個別検査よりも作用時間が増えるため、検査対象は慎重に選ぶ必要がある。

 感染者が多い地域の医療機関や介護施設などで施設内に患者が発生していない場合の一斉検査に導入するケースが想定される。厚労省はプール検査の指針で、検査対象から有症状者や濃厚接触者を除く方針。偽陽性や偽陰性のリスクもあることから、適切な検査試薬と装置の組み合わせや精度管理が整っていることなどを要件とする。

 同日の部会では、無症状者に対する抗原定性検査を行政検査として運用することも決めた。主に、医療機関や高齢者施設における一斉・定期的検査が対象。感染者のウイルス排出のピークが発症直前と初日との科学的根拠が積み上がっていることを踏まえ、抗原検査による確定診断をこれまでの発症2日目から発症初日に行えるようにもする。

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