国立遺伝学研究所(NIG)と国立情報学研究所(NII)は、国内外の新型コロナ感染症に関するオープンデータを集めたウェブサイトを立ち上げた。関連するデータやツールを分野別にリスト化し、データベース(DB)などにスムーズにアクセスできるようにした。画像や文献などを横断的に収集・共有化でき、治療薬の開発・実用化などを後押ししていく。

 開設したのは「COVID-19データポータルJAPAN」(https://covid19dataportal.jp/)。国・地域ごとに研究成果をまとめて発信している欧州での取り組みに賛同するかたちで、NIG生命情報・DDBJセンター、NIIオープンサイエンス基盤研究センターがデータを調査・収集し、サイトとして公開した。国立感染症研究所や国立医薬品食品衛生研究所、米国国立衛生研究所(NIH)を始めとする国内外の機関に対してリンクを貼っている。

 同サイトは、ウイルスの遺伝子配列情報などを掲載した「研究データ」、役立つさまざまなサービスなどを盛り込んだ「研究ツール」の2つで構成している。研究データは「遺伝子・配列」「たんぱく質」「画像」「文献」「疾患」といった各分野別に情報をリスト化した。研究ツールの場合、「バイオインフォマティクス」「データの投稿」の2項目を設けている。ともに、データ収集を続け、内容充実を図っていく方針だ。

 NIIオープンサイエンス基盤研究センターの山地一禎センター長は、サイト構築を通じ、海外に比べて日本の研究成果の公開が「積極的に進んでいない現状がみえてきた」と指摘する。今回の取り組みによって「日本からのデータ発信がさらに促進されることを期待したい」と話す。

 NIG生命情報・DDBJの有田正規センター長も新型コロナ感染症関連の論文数が少ないといわれている背景には「責任の所在が都道府県に押しつけられてしまい、ウイルスのRNA配列を含めた情報公開が進まないことがある」としたうえで、「情報の自由な流通がメリットになることを実感してもらいたい」と期待を寄せた。

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