塩野義製薬は26日、同社が創製した新型コロナウイルス感染症治療薬「Sー217622」の国内第1相臨床試験(P1)を始めたと発表した。同ウイルスの増殖に必要な酵素を阻害することで、抑制につなげるというのが作用機序。ウイルス量を減らすことで、重症化の阻止や症状改善を図る。1日1回投与の経口剤として開発を進め、簡便に使用できる治療薬とすることを目指す。

 22日に初回投与を実施した。被験者数は75人を予定。20~55歳の健康男性を対象に行い、服用時の体内動態、安全性などを確認する。まず国内での開発を優先する方針だ。

 新型コロナウイルスは、「3CLプロテアーゼ」という増殖に必須の酵素を有しており、217622は、同酵素を選択的に阻害することで、増殖を抑え込む。動物試験ではウイルス量を速やかかつ有意に低下することを確認ずみだとしている。

 新型コロナウイルス薬への開発を各社が進めるなか、塩野義はインフルエンザ同様、早期に使用することで体内のウイルス量を減らし、重症化抑制、発熱などの症状改善につながる治療薬が求められているとしていた。5月の決算説明会の席上、手代木功社長は、「低分子、経口剤にこだわる」と述べ、使い勝手の良い新規治療薬の治験を上期中に開始する考えを表明していた。

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