塩野義製薬は4日、開発中の新型コロナワクチン「S-268019」の3回目接種の有効性を示す国内第2/3相臨床試験(P2/3)結果の速報を発表した。ファイザーの同ワクチン「コミナティ」を2回接種完了後、半年以上経過した206人を対象に実施。中和抗体価など有効性はコミナティと差がなかった。一方、副反応の発現率はコミナティと同等以下の水準だった。

 医療従事者を主とする20歳以上の成人を対象に、昨年11月から今年1月にかけて行った。治験デザインは無作為化、オブザーバーブラインド、実薬対照。主要評価項目は接種28日後の中和抗体価の幾何平均値(GMT)と抗体応答率に設定した。

 同社が創製したアジュバント(免疫増強剤)を含むS-268019を1回、筋肉注射し、コミナティ接種者と比較。その結果、設定した主要評価項目はすべて達成した。

 副反応の発現率はコミナティが98・1%だったのに対し、S-268019は96・1%だった。発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、注射部位の痛みを確認したものの、重篤な副反応はなかった。

 同日会見した塩野義の手代木功社長は、「非常に良い結果。さらに開発を進めていきたい」と抱負を述べた。また、今回のP2/3を担当した東京品川病院の新海正晴副院長は、「個人的な見解」としたうえで、「依頼された当初よりは効果があると感じた。良いワクチンであると考えている」との見方を示した。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

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