承認可否の結論が持ち越しとなっていた塩野義製薬の新型コロナウイルス感染症経口薬(写真)についてきょう20日、厚生労働相の諮問機関である薬事・食品衛生審議会(薬食審)は薬事分科会と医薬品第二部会の合同会議を開き、改めて審議する。前回判断が分かれた理由となった同社の治験成績をどう評価するかがポイントの一つ。過半数の賛成が得られれば承認了承となる。

 塩野義が行った経口薬の第2/3相臨床試験(P2/3)のP2bパートまでの結果は症状改善傾向は確認できたものの、主要評価項目は未達だった。このため、先月の第二部会では議論が割れ、結論先送りを決定。政府が5月に創設した「緊急承認制度」の適用を同社が求めていることから、規定に従い薬事分科会でも審議し、承認了承となれば「速やかに承認する」(厚労省)。

 承認に向けた大きな論点は二つだ。一つは治験結果をどうみるか。先月の部会では主要評価項目が達成できなかったため、「曖昧な状態で国民が使うのはどうなのか」と慎重論が出た半面、比較的軽症者の多かったオミクロン株流行下での治験だったことを一因とする意見もあった。

 もう一つは、緊急承認制度で要件の一つとしている「緊急」をどうとらえるかだ。陽性者が急増し、いわゆる“第七波”が到来したとされることもあり、臨床現場の一部からは緊急承認を求める声も出ている。安全性や薬効に加え、緊急性をどう判断するかも承認可否の鍵を握る。

 一方、塩野義は19日、開発中の新型コロナワクチン「S-268019」の小児を対象とした国内P1/2/3(パート1)を開始したと発表した。48人の5~11歳を対象に1回目、2回目で接種した際の安全性と認容性を評価する。足元、小児に接種可能なワクチンは限られており、新たな選択肢としての提供を目指す。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

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