塩野義製薬の手代木功社長は10月30日の決算説明会で、開発中の新型コロナウイルスワクチンの第1相臨床試験(P2)を12月にも開始し、「年明けすぐには第2相臨床試験(P2)に入りたい」との考えを明らかにした。試験速報の結果を踏まえ、早ければ2月以降、2万~3万人規模のグローバル第3相臨床試験(P3)を実施。併せて、年度内に第1期として1000万人分の生産体制を敷く。

 現在、同社は遺伝子組み換えたんぱくワクチンの開発を国立感染症研究所(感染研)などと進めている。ワクチンを接種した複数のモデル動物への感染実験では「重症化予防効果を確認できた」といい、足元、「2回投与で考えている」とした。

 実用化の時期は、現在の欧米の感染状況を勘案すると「6カ月、1年でのP3完了もあり得る」としたが、患者数に左右されることもあり明言を避けた。大規模臨床試験と並行し、来年末には3000万人分以上の供給体制を整える方針だ。

 一方、北海道大学などと進めている治療薬開発では「有効性と安全性のさらなる検証が必要」との判断の下、今年度内の臨床試験開始を断念した。目下、前臨床の段階。ただ、「切れ味の良い経口剤はまだない」として、既存のリポジショニング薬を上回る新薬創出に向け、研究開発活動を継続していく。

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