島津製作所は8日、環境検査用「新型コロナウイルス拭取り検査試薬キット」を発売したと発表した。ドアノブやタブレット端末など、物質の表面に付着している新型コロナウイルスをPCR検査法により簡便、迅速、高感度に検出できる。このような製品の開発は世界初という。介護老人保健施設や児童福祉施設、食品製造・流通、商業施設、公共交通機関など向けの拭き取り検査サービスを手がける受託検査会社、医療機関に提供する。まず今後1年間で10万検査分に相当する1000キットの販売を目指す。

 キットは専用濃縮液とPCRに必要な試薬で構成。市販の綿棒で検査対象となる物質の表面を拭い、綿棒を生理食塩水などに浸した後、専用濃縮液を添加し、遠心分離を行うことでウイルスを沈殿させて濃縮させる。この後、熱処理、独自技術によるPCR法を経て陽性または陰性を判別する仕組み。加熱処理のみで使用でき、手間のかかるRNA抽出操作は不要だ。ウイルス濃縮に要する時間は約30分で、濃縮から判定まで約100分で完了するなど従来に比べ大幅に短縮できる。

 専用濃縮液によりウイルス量が0・25コピー/マイクロリットルと超微量でも検出可能。

 ゾーニングや清掃が適切に行えているかといったことに役立てられる点を訴求し拡販につなげる。

 価格(税別)は1キット(100検査分)27万5000円。

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